12月から、林野庁の実施する林業就業支援講習を受講することとなりました。
来週2日から岡山の西粟倉で林業を体験してきます。将来的には就業も視野に、林業の実情、森や木に関係する人々を見てきたいと思っています。
林業体験興味ある!という方は令和4年まで予定されている事業のようなので、上のリンクからご覧ください。
ただ、今だからこそいろんなことに首を突っ込み自分が一番活躍できる場所を探したいんです。
タイムリミットはこの冬くらいかな??
今は林業に関する本やネットで情報を集めながら、事前学習中です。
これまで勉強してきたことを含め、「外から見た林業」という視点で少し林業のご紹介、そして僕が林業に興味を持った理由なんかを説明したいと思います。
現代に残された最後の3K産業、林業
読者の中で林業に携わっている方がいたらゴメンナサイ。
しかし、データだけでみるとこれは事実。
狭く、傾斜のきつい斜面で行われる林業では、産業革命後も機械化が進まず、多くを経験と技術を必要とする人力に頼ってきました。
本格的な機械化が始まって50年ほど経ちますが、その危険率は依然として高く、死亡事故の発生率が全産業平均の12倍近い数字。令和元年では33件も発生しています(林野庁HP)。
しかもそのうち8件は北海道での事例。僕のやりたい広葉樹林業は北海道に多く、将来移住を目指す身としては悩みどころです(笑)
現在も急ピッチで現場の安全性確保に向けた工夫が行われているようですが、思い通りにならない自然の中で、巨大な木を扱うという特性上、危険性はすぐには下がらないのかなとも思います。
夏は直射日光の下で下草刈り、冬は雪に埋もれる苗の世話とまさに命がけの作業。
売れば売るほど赤字なんて言われるし、こんな産業をなんで国が総力挙げて支援してるんだろうか?と思うかもしれませんね。
こんな現状を知っていても、林業を守らなきゃいけない気がする理由をご説明します。
日本の森は宝の山。でも、宝で崩壊しようとしている
日本の面積のうち、7割は森林です。すごいです。ニッポン。
こんなに森であふれている先進国なんてありません。しかもこの数字は過去50年変わっていません。
そしてそこに立つ木のほとんどが収穫時期に来ており、まさに宝の山なのです。
これは戦後の日本人が後世のために森を拓いて作った人工林。贈り物ですよ。
でも、木材価格は下がり、安い輸入材が主流になり、日本の木は切られなくなりました。
人が作った人工林は人が手入れしないと成立できません。
いまの森では木の量が増えすぎ、森の中に日の光が入らず、土壌養分がどんどん減っています。

画像の森は間伐して間もないのか、明るいけれど小さな植物が少ないですよね?手入れされない森はもっと暗く、土や根がむき出しになっています。
詳しい説明は省きますが、このような不健全な森では、ざっと思いつくだけでも
- 土砂災害
- 水不足
- 洪水
- 土砂崩れ
- 生き物たちの死
- クマがめちゃくちゃ街に出てくる(森に食べ物がない)
などなど、様々な災害が予想されるんです。特に最後。今年はニュースなどでも見た覚えがありませんか??
ドミノですよ、ドミノ。
先人たちが一生懸命僕たちのために作ってくれたドミノ(今回は倒すことが目的ではないがw)。
僕らが木を使わないことで、そのドミノの一つが倒れ、これまでギリギリ持ちこたえてたものがすべて崩れ去る、というイメージです。

日本人が海外の木材を使うということの意味
皆さん、いま自分の手の届く範囲にある木材製品に触れてみてください。
机でも、壁でも、置物でも。
それがどこから来たか知っていますか??
日本は世界有数の木材輸入国です。中国、アメリカ、ドイツに続き、世界4位(https://www.globalnote.jp/post-3288.html
世界の原材料輸入額 国別ランキング・推移 – Global Note
)
日本社会は世界中から木を切って消費しているといえます。
林業といえば、
木を切って
⇓
植える
⇓
育てて
⇓
また切る
というサイクルを数十年~100年の単位で繰り返す長期産業です。
この育成型林業と呼ばれるスタイルは世界では極々少数派。通常は切ったら放置してまた生えるのを待つ(100年以上かかる。つまり放置)、という略奪型林業が主流。
あなたが今触れた木材が海外から来たものなら、それは本来オランウータンのベッドになっているはずだったかもしれないんです。
動物好きで株を上げようとするイケイケさんたちに叩きつけてやりたい事実ですね(何があった)
今の林業ではなく、広葉樹林業を進める必要性。
木を育てて切る、という林業は、世界的にも珍しく、エコな仕組みではありますが、持続的とは言えない気がするんです。
もちろん、今後も手厚いお手入れができる森はいいですが、担い手不足、収益化の難しさが叫ばれる現代では、人の手を借りずとも(放置しても)成り立ってくれる森にしなきゃいけません。
でないと今の課題を未来に持ち越すだけです。
そのためには今のスギやヒノキをメインにした林業ではなく、ドングリやらサクラやらいろんな木がごちゃ混ぜになった森を作る必要があるんです。

こういう森は自然と種が撒かれ、自然に芽吹き、自然と適切な密度になって成長してくれます。
しかも日本の林業技術があれば、通常100年以上かかるこのプロセスをある程度加速させることも可能です(たぶん)。
人の手がかからない森が増えれば、人件費が節約でき、山も健康。人も動物のウィンウィンな関係が作れます。
ただ、問題は山積みで、中でもそういう森にするまでの時間、森が収益化できないというのが課題なんですね。
だって広葉樹がでっかく育つには80年とか必要ですから。
でもね?
広葉樹がでっかく育つ前から、ある程度売れるようになれば、課題解決できると思いませんか?
小さい木だって、器やおもちゃ、家具など、小さな木材製品にすれば高く売ることができます。
そしてそういう製品はとにかく美しい。。。。
広葉樹の美しさに惚れて、エクステリアに使いたいという企業や消費者は確実に存在します。
そしてそれを加工する人も十分ではないにしろ、既にいます。
問題は
- そういう木を安定的に出せる森がないこと
- 買いたい人と売りたい人のマッチングができていないこと
なんです(とある有名教授に聞いた話)。
小さな広葉樹を美しい製品として売るサイクルがもっと強くなれば、日本の森ってもう少し元気になるんじゃないかな。
人VS動物みたいな構図をなくせるんじゃなかろうか?
こんな理想を描きながら、来週からの講習に行ってきます。
