正直、最初は素人の自分に何ができるんだっていう疑問はあった。
— あんが〜🇵🇼 (@angar_pl) 2019年6月11日
でも今は、プロにはできない仕事、アマじゃなきゃいけない理由が沢山あるって感じる。#青年海外協力隊 #jica海外協力隊 #ボランティア #国際協力 #素人 #任地に行っても忘れずに
- 「JICA海外協力隊ってただの素人でしょう?」
- 「アマチュア集団が途上国に行って役に立つの?」
- 「税金の無駄遣いでは?」
訓練所に来る前、たまに見たり聞いたりしたJICA海外協力隊、青年海外協力隊への疑問。
きっと候補生の誰もが経験しているし、誰よりも候補生本人が自問自答することだと思います。
上のような意見を持っている人に対して、アンチだとか批評家だとか言うつもりはありません。僕自身が考えていたことでもあるんですから。
むしろ、当事者として目を伏せたいその疑問と向き合わせてくれて、本当に有難かったなぁと心から思っています。
さて、これまで技術補完研修と2カ月近い訓練の日々を過ごし、この自問に自分なりの答えを見出せそうなので、少しメモをしときたいと思います。
あくまで僕の学んだこと、考えたことを整理しているだけなので、実際に経験されている人、関係者の方から見たら少し違うかもしれません。「現実は甘くねぇぞ」と言われたらそれまでです。。。汗
協力活動は大きな目的(国づくり)の小さな手段
途上国では、資金や人材の不足もしくは偏りによって、開発の波に乗れない地域や人々が数多く存在します。
そんなたくさんのコミュニティーを、数多くのボランティアが、多くの地域で支えることにより、その国がより良くなることを目指すのがJOCV、JICA海外協力隊流の国づくりの手法だと思います。
経済でいうなら薄利多売戦略というでしょうか。求めるものが利益なのか、国づくりなのかの違いです。
薄利多売だからこそ、協力隊員の数はできるだけ多く必要。
近年、JICA海外協力隊の応募者数が減っているということを事務局側が大変危惧しているのは、協力隊員が減る=国づくり効果の減少につながるからなんじゃないでしょうか。
プロではなく、アマが必要な理由
これについてはコスト面と仕事内容の2つの理由があります。
まず、プロを派遣するには対価を払うのは当然です。協力隊の仕事は時にとんでもない僻地に送られるので、対価として僻地手当みたいなのもいるんじゃないでしょうか?
このように考えると、プロを派遣するには隊員数を減らすほかありません。前述の薄利多売、数による国づくりは不可能です。
対して、現在の協力隊員は必ずしもプロではなく、国際協力をしたいという志願者集団です。対価を求めて参加することはありません。
帰国後、手元に残るであろう200万弱の手当は対価ではないし、給料としてはあまりに少額です。
会社から、「二カ月研修した後に途上国で二年間働いてくれ。住居や食べ物は現地人と一緒。全給与支給は帰国後、200万な」って言われたら、会社辞めますよね(笑)
高い給料は住民理解の妨げになるかも
JICA海外ボランティアの協力姿勢は現地の人と同じ言葉を話し、同じものを食べ、同じ目線で課題を見つめ、協力して改善に向けた取り組みを実施することです。
協力隊員の住居が現地での平均的な(セキュリティー上、平均以上のことも多いけど)レベルだったり、僕ら大洋州隊員のように現地の家庭にホームステイをする理由は、できる限り現地の人と同じ目線でいられるようにするためのルール。
もちろん、日本人である僕らがたった二年で現地の人と同じ感覚になることは絶対無理ですが、日本とかけ離れた環境で生活することでそれを実現に近づけています。
もし、JICA海外協力隊がプロ集団であり、それ相応の給与をもらえているとしたら、その収入格差は価値観の違いや生活スタイルの違いとして、現地の人との壁を作ってしまうことになります。
途上国の平均収入は国によりますが、低いところでは年収2~3万にも満たないところも多くあります。
最終的に協力隊員がもらえる手当は現地の人の収入からすれば考えられない大金ですが、現地でもらえる生活資金が現地の平均に合わせて調節されているのは、収入格差が関係構築の妨げにならない工夫なんじゃないだろうか。
プロにはできない「専門外に取り組む姿勢」
技術補完研修中に学んだたとえ話に、すごく印象的なものがありました。
ある途上国に、大きな空き地がある家があります。僕らはこの家主を支援したいと思っています。
もし、あなたが野菜栽培のプロフェッショナルなら家主に何をしてあげますか??
もし、あなたが酪農のプロフェッショナルなら、何をしてあげますか??
もし、あなたが野球のプロフェッショナルなら、何をしてあげますか??
単純に考えれば、野菜栽培のプロは庭に畑を作り、野菜の作り方を教えるでしょう。酪農のプロなら家畜を飼い、酪農のノウハウを教えます。野球のプロだったらグラウンド用に土地を借り、野球を教えるかもしれません。
これらはどれも家主のメリットです。でも、もしこの家庭がそのすべてを望んでなかったとしたら??
支援だと思って提供したものはすべてありがた迷惑だった、ということになります。
プロフェッショナルはその道のエキスパートである分、現地でできること、やらなければならないことに制限があるんです。
しかし、協力隊は違います。
現地の人が本当に求めているモノを理解し、持続可能な開発をするためであれば、自分の職種とは全く違うことをしてもいいのです。
というより、自分の職種と関係ないことでもしなければなりません。
もちろん、協力隊には野菜栽培隊員も、酪農隊員もいますし、彼らのスキルはプロレベルです。
しかし、協力隊として派遣される以上、現地で必要であれば、日本語を教えたり、算数の授業をやったりという可能性だってあるんです。
この柔軟さが協力隊の特徴であり、それに必要な知識を補完するネットワークが協力隊の強みでもあると思います。
効率のいい支援は効果的な支援ではない
草の根支援について、効率が悪いという考えもあるでしょう。確かに、めちゃくちゃ効率が悪いと思います。
でも、国際協力の歴史は効率と効果のトレードオフの歴史でもあります。
効率の良い支援をするために、これまで世界各国がODAの方法を試行錯誤してきました。
でも、途上国の偏ったルールや政治的腐敗により、それらの効率的支援は一部の人の私腹を肥やすことにしかならなかったのです。
効率のいい支援では、その恩恵を受けられないコミュニティがたくさんできます。
それを一つ一つサポートすることが草の根的な協力活動の意味ではないでしょうか。
結局は行ってみないとわからない
ここまで僕なりの協力隊への理解、必要性を並べてきましたが、結局は現地にいってみないとわかりません。
もしかしたら、日々の仕事や人間関係に疲れ果てて愚痴ばっかり言ってるかもしれないしww
でもそんなときに、この記事を見返すことで初心に返れたらいいなぁと思います。
訓練もあと2週間程度となりました。
楽しみなような、不安なような。。。
でもドキドキする。
そんな日々が続いております(笑)